二酸化炭素殺虫処理ってどんな感じ?

殺虫

◆エキヒュームSは、文虫研の認定薬剤を2026年3月末にて取り消しとなりました

これまで弊社では、資料に虫の棲息が疑われ、カビが発生している場合など、その対処法として、虫やカビに効果のある「エキヒュームS」による燻蒸を実施してきました。また、お客さまからの要望により、資料にカビが発生していなくとも処理期間の問題からもエキヒュームSを使用することが多くありました。
虫もカビも一緒に対処できる薬剤として優秀な「エキヒュームS」でしたが、2026年3月末をもって、文化財虫菌害研究所の認定薬剤を取り消されました。

*日本液炭㈱さまでは、文化財用薬剤の「エキヒュームS」を始め、防虫剤の「ブンガノン」や防カビ剤の「ライセント」も2025年3月をもって製造が終了しています。

今後、どのようにカビや虫が発生した資料を管理していくか。普段の管理だけではなく、受け入れ資料や、緊急時の対応として、どうしていくのが最善なのか、熟慮されていることと思います。

現状のところ、基本的には、カビと虫は、切り分けて対処していくことが必要となります。

先ず、カビは、目で見て発生していなければ対処する必要はありません。

もし、発生していても、HEPAフィルタ付きの掃除機や刷毛などでカビを吸引除去し、対処可能な資料であれば消毒用エタノールにより清拭除菌し、適正な環境に保管すれば、カビによる資料への影響は粗ないものと考えます。(但し、資料によってはその限りではないので、状況により対処は都度判断が必要となります。)

そして、虫ですが、カビは、目で見て発生が分かるのですが、虫は、資料の材の中に入り込んでいたりするため、目視では発生状況が分からない場合が多くあります。

資料の虫害対策としては、小さめの資料であれば、モルデナイベにより脱酸素処理をすることにより虫をゼロにできます。
受入資料や保管資料に虫が棲息している場合など、緊急対応を要するときにモルデナイベをさっと取り出して、館の職員の方々が処理することにより、燻蒸するタイミングを待たずして、迅速且つ安全に処理ができます。とても効果的な処理かと思います。(弊社に販売させていただいています)

モルデナイベに入りきれない大きめの資料や多くの資料の場合は、弊社では二酸化炭素による殺虫処理で対応させていただいています。

それでは、実際に二酸化炭素殺虫処理をおこなうときは、どのような条件が必要なのでしょうか。
ポイントを見ていきましょう。

◆場所と温度がキーポイント

暖かい室温が必要(夜間も含む)
二酸化炭素殺虫処理では、25(20)度以上の温度が必要です。
夏季であれば、空調のない場所でも可能ですが、秋~春にかけては、空調設備のある場所でおこなう必要があります。
空調がなくとも100V電源があり、オイルヒーターなどで加温できる状況の部屋であれば問題はありません。
夜間に気温が下がる季節は、期間中ずっと空調をつけっぱなしにしなければなりません
基本的に、作業場所の室温は、25℃が必要となります。

❷包み込み用テント(ガスバリアフィルム)
二酸化炭素殺虫をするための包み込み用テントは、ガスバリアフィルム(EVOH積層シート)とシーラー(熱溶着機)を用いて、概ね資料の量に応じたご希望のサイズで作成いたします。

❸殺虫期間は、14日間
<主な工程>
 (1)包み込みテント設営       
 (2)資料運び入れ(館対応)
 (3)包み込みテント密閉
 (4)二酸化炭素 投薬
 (5)投薬後、濃度確認(翌日及び7日後)
 (6)二酸化炭素 開放(14日後)
 (7)資料運び出し(館対応)
 (8)テント解体

…と、包み込みテントサイズが小さなタイプであれば14日間で終了します。テントサイズが大きい場合や館による資料の搬入に日数が掛かる場合は、プラスしてその日数分、テントがそこに鎮座できる場所が必要となります。

❹燻蒸期間中の室内への立ち入り
期間中は、なるべく室内への立ち入りはしないでください。ただし、入口扉をあけてすぐの箇所に、二酸化炭素濃度計測器を設置しますので、どうしても室内に入る必要がある場合は、必ず、室内環境の濃度を見て、安全を確認してから入室してください。
※1,000ppm以下を確認します。

❺ガス開放期間は短め
これまでのエキヒュームSのガス開放期間より、大幅に短縮となります。
ガスの開放日は、付近は立入禁止となります。二酸化炭素の排出口付近では、濃度の計測もおこないながら排出をしますが、安全のため、広めに立ち入り禁止区域を設けています。
室内の二酸化炭素濃度を基準値(1,000ppm)まで下げてから、排気作業の完了となります。
基本的に半日程度で終了いたします

❻エアーレーションは不要
ガス開放完了後、基本的にすぐにテント内に入って、資料の運び出し作業が出来ます。
資料から、じわじわ出てくる残留ガスの影響も少ないので、安心して作業出来るところが良いですね!

❼費用
費用は、エキヒュームSによる包み込み燻蒸と、ほぼ同程度です(テントのサイズが同じ場合)。

◆注意すべきこと

①カミキリムシ類などには、二酸化炭素に耐性の強いものがいます。

②高湿度条件では、鉛系の顔料を変色させます。高湿度環境となっている場所は、処理できない場合があります。

③一部の緩衝材(プラスチックフォーム剤)は、弾力が戻らなくなるため、緩衝材をはずしてから処理をする必要があります。

◆まずはお問い合わせください

初めて二酸化炭素で殺虫処理をする館の方は、疑問や不安もあることと存じます。気になることがございましたら、見積り以前の段階であっても、お気軽にお問い合わせください。

温度をキープできる場所の確保に苦慮されることもあるかと思われます。
包み込みテントサイズが、3m×1.8m×高さ1.5m内に対象資料が入るようであり、持ち出し可能な資料であれば、引き取りによる殺虫処理もお受けしております。

小さなことも
ひとつひとつお答えします
お気軽にお問い合せください☆彡

by とみぃ

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